CASE事例

  • CASE03

    塗料改質

    塗膜の耐久性・摺動性向上、艶消し効果も

ミペロン®塗料用途での特性

耐摩耗性、摺動性、耐薬品性

採用例・評価例

自動車部品、電子機器・工業製品の摺動塗料

塗料添加材における現行材の課題

塗料の摺動改質用途においては、PTFEが広く使われています。しかし、PTFE製造時に使用される化学物質であるPFOAは人体に悪影響を与えるリスクがあることがさまざまな研究からわかってきています。PFOAフリーのPTFE製品も上市されていますが、PFOA代替品についても欧州を中心に規制の動きが広まっており、PTFEの代替品を必要とされるケースは根強くあります。

解決策

三井化学のミペロン®は、超高分子量ポリエチレン微粒子です。ミペロン®をコーティングの添加剤として使用するとことで、塗膜の耐摩耗性と潤滑性を向上させます。また、ミペロン®はポリエチレンであることから安全性も高く、FDAの規格に適合しています。ミペロン®の特徴は、粒度分布が狭い球状粒子である点です。下図は、ミペロン®をSEMで撮影したものですが、真球状をしていること、そして粒度分布が非常にシャープであることが分かります。ミペロン®は10~60μまで粒径の幅があり、塗膜によって粒子の大きさを使い分けることが可能になります。

SEM撮影写真
粒度分布

塗料の耐摩耗性

加えて粒子自身も、非常に滑りやすい性質を持っており、PTFEやナイロンビーズよりも低摩擦な物質になります。コーティングの添加剤としてのミペロン®の性能をさらにテストおよび比較するために、EPDMシートにプライマーを用いてコーティングを施しました。次にシートを水性PU塗料でコーティングし、それに10%の摺動添加剤を分散剤とともに添加した上で、コーティングされたゴムシートのガラスとの摩擦係数を測定しました。図は、さまざまな添加剤の往復数による摩擦係数の変化を示しています。PTFEおよびPEワックスは低い初期係数を示しますが、時間がたつにつれ摩擦係数が大きくなります。 PA12は、5,000回の往復運動時には大きな変化は見られませんが、ミペロン®PM200の方が常に低い摩擦係数を示します。このことから、ミペロン®はPTFE、PA、PEワックスよりもゴムの滑りやすさを改善し、PEワックスやPTFEと比較して優れた耐久性を示すことが分かります。

摩擦係数測定値

ミペロン®の摺動メカニズム

摩擦低減添加剤としてのミペロン®の優れた性能は、ミペロン®粒子の球形と滑らかな表面、およびUHMW-PE材料の優れた耐摩耗性によるものです。ガラスとの接触面積を最小限に抑えつつ、粒子が削れないことで球形を保ちます。 これによって、耐摩耗性は摩擦を低減し、耐久性を向上させることが可能です。PTFE粒子の表面は粗く、粒子が摩耗しやすく、 摩耗により接触面積が増加するため摩擦係数が増加します。下図はその様子を示したものになります。

ミペロン®の摺動メカニズム

ミペロン®の艶消し効果

ミペロン®は、耐摩耗性と滑りやすさの向上に加えて、コーティングに少量添加した場合でも艶消し効果を発揮します。図は、ABS樹脂にミペロン®を10%添加したアクリル塗料を塗布したものを示していますが、艶消し効果が表れていることが分かります。

ミペロン®の艶消し効果

まとめ

ミペロン®は、耐摩耗性を向上させ、コーティングの摩擦係数を低減することができます。また、その高い分子量と球状粒子により、コーティングに高い耐久性を付与します。さらに、PTFEなどの他の添加剤と比べて摩擦係数の低減に優れ、艶消しの効果もあります。摺動添加剤として幅広い機能を持つミペロン®は、コーティングの添加剤として他に代えがたい優れた特性を持ちます。

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